2020年2月15日、「すべての子どもたちの学ぶ権利を守る教育事務の役割」をテーマとして、関東ブロック地域研究集会を東京都日野市の明星大学において開催いたしましたところ、北は北海道から南は沖縄まで、117名の皆さんのご参加をいただき、盛会のうちに全日程を終了しました。
集会では、3件の基調報告が発表されました。京都市立洛北中学校教頭東郷伸也会員と京都市教育委員会学校事務支援室支援主事水口真弓会員からは、「経済的困難を抱えた子どもの就学支援と学習支援」をテーマとして、就学援助認定権が学校長に委任されている京都市において、教員と事務職員の協働によって進められた就学支援の充実と、一人一人の子どもに対応した学習支援の展開の様子が報告されました。
さいたま市立高砂小学校事務職員礒田勝会員からは、「障がいのある子どもの学ぶ権利とインクルーシブ教育」をテーマとして、インクルーシブ教育の実現を目指す上での諸課題や、教育事務に携わる者はどのようにこの課題に向かうべきかについて、実践に根差した報告がありました。
横浜市立大綱小学校事務職員大多和雅絵会員からは、「外国籍の子どもの学ぶ権利の保障と夜間中学校」をテーマとして、外国籍の子どもの置かれている状況、夜間中学校が今日果たしている役割と、今後の展望などが報告されました。
続いて、弱者や少数者の学ぶ権利擁護について積極的に発言されているほか、夜間中学校でも実践的な活動を続けておられる元文部科学事務次官前川喜平さんの講演を聴講しました。
前川さんは講演の中で、わが国に住む全ての子どもの学びを保障することは憲法・条約上の義務であること、子どもたちが共に学ぶ教育の仕組みを指向することは必ずしも同じ教育を受けることを意味するのではなく、個別の学びの配慮が必要であることなどを話されました。
また、無償の日本語学級を国の学級編成基準に算入した形で、夜間中学校に併設することや、民族教育の機会を保障し支援することの重要性にも触れられました。
パネルディスカッションでは、会場からも活発な意見表明があり、全ての子どもの学ぶ権利を守ることを職務的使命とする教育事務職員と研究者は、共生社会における教育のありかたをより深く追求していかなければならないとの認識を深めて集会を終えることができました。
本研究集会の開催にあたり、ご参加いただいた皆様、そして、支えていただきましたすべての皆様に心より感謝申しあげます。
関東ブロック地域研究集会実行委員長 川崎雅和